台湾パイナップル騒動とは
2021年3月1日から中国政府が害虫の混入を理由に
台湾産パイナップルの輸入を停止しています。
本件は台湾に対して統一への圧力を強める
習近平体制による嫌がらせの一環と言われており、
台湾側は「検疫の合格率は99・79%で政治的な圧力だ」と主張しています。
もともと台湾産パイナップルの輸出量は、中国向けが9割以上を占めており、
3月から本格的な収穫期に入る台湾のパイナップル業界は大打撃を受けるのでは、
と言われておりました。
しかし、それに対して台湾国民と台湾企業だけでなく、
日本やその他の国々も購入に対して支援の姿勢を見せており、
現時点で台湾産パイナップルの国内外からの受注量は4万1687トンに達し、
既に中国への年間輸出量分相当に達しているとのことです。
日本に関しては昨年は日本向け輸出総量2,171トンであったのに対し、
今年はすでに確定している分で3,500トンに達しているとのことで、
5,000トン超えの可能性もあるのではないか、と言われています。
非関税障壁とは
こういった関税以外の方法で貿易を制限する方法を非関税障壁というのですが、
非関税障壁の設定際は、今回の様に政治的な背景により設定されることもあれば、
経済的な理由により設定されることもあります。
例えば、ベトナム政府は、
2018年に自動車の品質・性能に関する証明書の提出を要求するとともに、
輸入ロットや車種仕様毎に品質のサンプル調査を行う新規制を導入し、
他国からの完成車を輸入を抑制しました。
この背景には、
2018年に東南アジア諸国連合(ASEAN)で完成車の輸入関税が撤廃され、
タイなどから自動車産業が集積している国々から完成車が大量に国内に輸入されてくる見通しとなり、
国内の自動車産業(特に完成車産業)が衰退することを恐れ、上記のような非関税障壁を設定したと言われています。
実際にトヨタは当時ベトナムでの現地生産撤退を検討していたと報道されていましたし、GMに関しては2019年に現地生産から撤退しています。
経済的な背景を起因にした非関税障壁であれば、時間が解決するのかもしれませんが、
政治的な背景に基づく場合は、今回の台湾、日本の様に日ごろの友好関係の構築が大切ですね。
これは、人間関係でもいえるとは思いますが。