昨今、日本では
- 少子高齢化社会の到来により、このままだと日本の労働人口が激減する
- そのため、日本経済を維持するためには大量の外国人労働者を雇用する必要がある
との主張が繰り広げられています。
そういった流れもあり、
国としては一部の分野で外国人労働力の受け入れを進めています。
看護師・介護福祉士と言った分野では、
インドネシア、フィリピン及びベトナムから候補生を受け入れ、
日本の国家資格取得を支援しています。
確かに日本人と比較して安価な労働力を活用し、
日本経済の維持に役立つかもしれませんが、
こうした動きは本当に良いのでしょうか。
目先の安価な労働力に飛びつくことは短期的には良いかもしれませんが、
長期的には良くないと思います。
何故なら、治安面での不安に加え、
今回のような疫病流行時にはクリティカルな打撃が発生するからです。
シンガポールの事例
皆さんご存じの通り、
シンガポールは人口560万人ほどの国(日本だと板橋区と同じくらいの人口規模)なのですが、
当初は近隣諸国から安価な労働力をかき集めて自国の経済発展に役立てていました。
かなり安価な外国人労働者が単純作業(低付加価値労働)をするためにシンガポールで働いているそうなのですが、
彼らはパネルに囲まれた建設現場や倉庫などの場所で働き、
郊外に居住して通勤しているため、
一般市民の目につくことは少なく存在が問題視されることもなかったそうです。
しかも低付加価値労働者は、
シンガポール市民との婚姻権も所有していない
この点、日本も真似すれば良い制度だと思います。
しかし、最近はシンガポール経済が成熟期に入ったことに加え、世界的な金融危機の影響等を受けて、2000年代後半になると、高度人材・非高度人材ともに、外国人材の流入を抑制する方向へ政策方針を転換
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少子高齢化の影響もあり、経済維持のための一定割合での外国人材の必要性は認めつつも、外国人雇用税を引き上げるなど、外国人材流入のハードルを年々高める
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外国人労働者の増加は、建設分野における労働者の拡大が背景
と言った状況にあります。
特に面白いのが外国人雇用税という税金を課税しており、
企業は、高スキル・基本スキルの外国人労働者一人につき600SGD/月、
未熟練の外国人労働者一人につき2,000SGD/月の外国人労働者雇用税を
支払う義務があるとのことです。
加えて、建設会社はローカルの労働者一人につき、
7人の労働許可証保有者を雇用できるといった縛りもあり、中々厳しい制度です。
そのため結果として、
建設プロジェクトの場合、総コストの30〜40%を人件費が占めるようになり、
マージンを圧迫している状況だということです。
で、そもそも何故シンガポール政府はこのような強硬策を取っているかと言うと、
安価な労働力が手軽に利用できることから労働生産性の改善が進まないことを
政府は問題視しており、
ITの活用や業務のプロセス改善による生産性向上を強引にでも推し進めたい
意向があるようです。
勿論、シンガポール政府は補助金整備などにより企業が新規テクノロジーの導入を支援したりして、アメも準備してプロジェクトを推進しています。
日本は目先の労働力に飛びつくべきでない
日本も目先の安価な労働力に眩んでしまったばかりに、
シンガポールと同じようなステップを踏むことは止めて欲しいものです。
先行事例があるなら、
参考にしてもっと良いソリューションを考えることが可能だと思いますし、
課題に対して先手を打つことは常に考える必要があると思います。
業務改善や新規テクノロジー・エネルギー等の開発に資本を投入して、
働かずとも富のある社会を目指すべきだと思います。
(石油のある中東諸国のようなイメージですが、
あちらの国は生活の自動化とかも進んでいないので、
大量のメイドさんや建設労働者が働いていますね。)